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【実施報告】IR情報から読み解く企業研究 情報発信とビジネスマッチング

2023年03月30日(木)

経営陣が発信するIR情報を通じ、企業理解を深める研究会を実施

IRとは、企業が株主や投資家に向け、経営状態、財務状況、今後の計画などの情報を提供する広報活動のこと。企業の実情を客観的に捉えることができるIR情報は、就活生が企業研究を行う際の重要なツールにもなり得ます。そこで今回、本学初の試みとして、東証プライム、スタンダードの上場企業6社の経営陣を招いてIR研究会を開催。2月3日に行われた研究会には140名の学生が参加し、参加企業の方々からの貴重な話を拝聴しました。
 
 
就活や研究活動、金融教育に役立つIR情報
冒頭、本学の山本俊一郎学長が開会の挨拶をしました。「経営に携わる方々の話を直接聞くことができる今回の研究会は、学生たちにとって貴重な時間となるでしょう。IR情報は、就活のみならず、経済に関する研究、教育にも役立つと確信しています。この機会を活かし、多くの学びを得て、各企業との出会いから自分の興味・関心を広げてほしい」と述べました。
 
続いて、IR研究会の開催にあたって支援していただいた、株式会社KCR総研の代表取締役・金田一洋次郎氏が登壇。「企業IRは、企業自体を知ることにつながり、金融教育にも役立ちます。いい企業とは、成長する企業であり、株価も伸びていきます。事業内容を知ると同様に、経営陣について知ることも大切。就活でも投資においても、見抜く力を学生時代から身につけてください」と、学生に語りかけました。

経営陣の言葉から伝わる、企業の実状
参加企業からのプレゼンテーションは、下記の通り行われました。各企業で経営の中枢を担う立場から語られる言葉と、データで示される企業情報などによってリアルな企業の姿を感じ取ることができ、就活を控えた学生たちは真剣に聞き入っていました。

株式会社エーアイテイー
代表取締役社長・矢倉英一氏が登壇し、顧客の要望に合わせた最適な物流環境を提供するフォワーダーとして、国際物流を担う同社の業務内容を紹介。中国を中心とする豊富な海外ネットワーク、年間コンテナ取扱数の多さ、営業力といった強みを持ち、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進も急速に加速していると説明しました。連結業績や配当金の推移などのデータを示しながら、コロナ禍においても増収増益を実現しているという経営状況を明らかにしました。
 
 
 
株式会社TBグループ、株式会社スマートヘルスネット
代表取締役会長兼社長・村田三郎氏は「喜んでもらう喜び、己も喜びたい」という言葉を経営の哲学として大切にしていると力説。普及率零商材の開発・販売を目指し、LED照明、デジタルサイネージ、病院向けカード式テレビシステムなどの製造・販売を手掛けています。新たな事業戦略として昨年9月、グループ内に株式会社スマートヘルスネットを設立。取締役を務める清水洋一郎氏は、未病対策、在宅介護、医療ツーリズムの新しいシステムやプログラムなど、医療とテクノロジーを組み合わせた事業展開について説明しました。
 

株式会社ドウシシャ
生活関連商品の企画から生産・販売まで行うドウシシャ。常務執行役員・小柳伸成氏は、企業経営の最も重要なテーマは「つぶれない会社づくり」だと話します。ニッチな市場を掘り起こす商品企画、取引先4800社・取扱商品点数5万点などの分散戦略、高い自己資本比率、徹底した与信管理によって貸倒比率を低い水準に抑えるといった経営戦略により、つぶれない会社づくりの実現を追求しています。小柳氏は「三方よしの精神に加え、従業員とその家族が安心して暮らせる四方よしの会社を目指していきたい」と意気込みを語りました。
 
 
 
株式会社ダイキアクシス
専務取締役・大亀裕貴氏は、「環境を守る。未来を変える。」をテーマに、排水処理機器の開発や再生可能エネルギー事業などインフラ関連の事業を中心に展開する業務内容を紹介。売上高、営業利益において大幅な増加を目指す中期目標を示した上で、海外事業の拡大、幅広いステークホルダーとの連携による既存事業の成長、IT活用の推進という3つの成長戦略を挙げました。とくに海外事業に注力し、浄化槽装置の普及によって世界の水環境を改善していくことを企業使命としていると話しました。
 

株式会社エコミック
企業ミッションは、利益につながらない管理部門業務を改善するコンサルティング提案を行って生産性向上に寄与し、顧客企業の成長を支援すること。現在、給与計算や年末調整代行などを主要業務としています。12年連続で売上高アップを達成しており、人材不足や働き方改革などの影響でアウトソースの需要は増しているという市場予測を示しました。代表取締役社長・熊谷浩二氏は、「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のリーディングカンパニーを目指し、管理部門のルーティンワークを日本企業からなくしていきたい」というビジョンを語りました。
 
 
テクマトリックス株式会社
サイバーセキュリティ対策、医療用画像のクラウドサービスなどのITサービスを提供しており、学校業務を支援するサービスも新規事業として展開。同社の特色は、顧客からシステム開発を請け負うのではなく、汎用性のあるサービスを提供することだといいます。代表取締役社長・由利孝氏は、この背景には「労働集約的なIT業界の構造を破壊したい」との考えがあると語ります。売上高は20年連続で増収。あきらめずに挑戦と成長を続けてきた企業であり、求める人材としてもそのマインドを期待したいと由利氏は強調しました。

各社のプレゼンテーション終了後、参加企業の個別説明会も開催され、学生たちは興味・関心を持った企業と交流を深める機会を得ました。一般的な会社説明会では得られない情報をはじめ、経営陣の生の声を聞くことができ、学生たちにとって、IR情報の重要性を認識し、就活を一歩先へと後押しする研究会となりました。
 
 
●学生の声
これまでに参加した会社説明会とは違い、経営にまつわる数字や経営方針などについて詳しく知ることができました。IR情報を通じて深く企業を知ることができるのだと実感できたので、この学びを今後の就活に活かしていきたいと思っています。(経営学部3年)
 
今までの就活でIR情報を活用したことはありませんでした。今日のプレゼンを聞いてみて、就活や投資に際して経営者を知ることが大事だとよく分かりました。経営理念に込められた考えなど、経営者の方から直接聞く話には説得力があり、心に残りました。(経営学部3年)