社会連携

避難所開設訓練リポート

想定しておこう!避難所はこうして開設される

大阪経済大学は体育館(1階小競技場、3階大競技場)が指定避難所となっています。
今回は、東淀川区役所職員と地域住民、本学の学生が実際に避難所開設訓練を行いました。
その様子をレポートしながら、避難所開設のポイントをお伝えします。

訓練を始めるにあたって

2021年3月11日(水)に東淀川区役所の協力のもと、本学体育館(小競技場)で避難所開設訓練を行いました。東淀川区役所職員6名、近隣住民9名、本学の学生12名が参加、緊急事態宣言が解除されて間もない時期ということもあり、少人数で実施しました。
訓練に先立ち、本学の山下総務部長、東淀川区役所地域課の奥野安全安心企画担当課長から挨拶の後、参加者全員で東日本大震災の犠牲者に黙とうをささげました。

訓練スタート

いよいよ避難所開設訓練がスタート。
参加者は配布された資料を見ながら、東淀川区役所防災担当の島田さんに説明を受けます。

以下に、説明された「避難所開設訓練のポイント」と「大阪経済大学での避難所開設の流れ」についてまとめましたので、このサイトをご覧の皆さんも参考にしてください。

●避難所開設訓練のポイント

その1 なぜ避難所開設訓練をするのか

災害発生時に、避難所の開設や救出救助、避難所の運営をするのは地域住民だからです。
夜中や休日に大きな地震が発生した場合、すぐに区役所職員が駆けつけられないこともありますし、そもそも区役所職員が被災していることも想定されます。
また、平日の昼間に大きな地震が発生した場合も、区役所職員だけでは多くの避難者に対応することは困難です。
さらに、避難所に指定されている学校の教職員は、生徒や学生の安全確保を最優先に取り組みます。災害時避難所は学校から「場所の提供」を受けているにすぎません。
そのため、区役所職員や消防隊員、学校の教職員がいなくても、地域住民で避難所の開設や救出救助、避難所の運営をしてもらえるように学習会や訓練を行っています。

その2 コロナ禍における避難所開設は、これまでとどこが違うのか

3密状態を回避する対策をとります。
・「事前受付」で検温や問診を行い、避難者を振り分けます。
・避難所を「一般棟」と「療養棟」に分けます。
 ※ちなみに、本学は一般棟のみの開設が想定されており、療養棟は大隅西小学校に設けられます。
・避難スペースにつながる動線を分けます。
・避難スペースのレイアウトを広くとります

●大阪経済大学での避難所開設の流れ

①区役所から大学へ避難所の開設要請
IP無線機を通じて、区役所から大学へ避難所の開設要請を行います。

②大学が避難場所の安全確認後、区役所に返答
本学の守衛が避難所施設である体育館1階小競技場、3階大競技場の安全確認を行い、区役所に返答します。

③避難場所の開錠
避難所開設を行う地域住民は、開設時には守衛室を訪ね、カギの開錠を依頼します。
開錠されたら、避難所スペースの安全確認を行います。
※小中学校では、学校の門の鍵や体育館の鍵、備蓄倉庫の鍵を地域の代表者に預かってもらい、いざという時に備えています。

④受付と避難スペースの準備
備蓄倉庫から必要物資を運びこみ、同時進行で3グループに分かれて設営を行います。
 A)避難者の振り分けを行う「事前受付」
 B)一般棟に避難する方を受け付ける「一般棟受付」
 C)避難スペース

今回の訓練では「④受付と避難スペースの準備」を行いました。
次から詳しく見ていきましょう。

訓練の様子をリポート!

A)「事前受付」設営

1.避難所事前受付セットのボックスから、必要物資
  を取り出します。
2.フェイスシールド、マスク、使い捨て手袋、ガウ
  ン(雨合羽)を身に着けます。
3.消毒液、非接触体温計、マスク、拡声器、体調確
  認票、筆記用具を準備します。

B)「一般棟受付」設営

1.一般棟受付キット(A)のボックスから、必要
  物資を取り出します。
2.フェイスシールド、マスク、使い捨て手袋、
  ガウン(雨合羽)を身に着けます。
3.消毒液、マスク、ペーパータオル、名簿用紙、
  健康記録表、筆記用具回収箱を準備します。

C)「避難スペース」設営

1.一般棟受付キット(A)のボックスから、必要
  物資を取り出します。
2.入口に消毒用マットを設置します。消毒用マッ
  トは500mlペットボトル1本の水に対して、
  キャップ1杯の塩素系漂白剤を薄めたもので
  浸します。
3.避難スペースの通路幅を設営します。

いざ!シミュレーション!!!

避難者役の地域住民と学生がスタンバイ。

スタッフ役は避難者役へ、2m程度の間隔を保って待機するように指示します。
避難者役の皆さんは、指示通りに整列しています。

スタッフ役は避難者役にマスク着用と手指消毒を指示し、非接触型体温計で検温します。
咳・倦怠感・味覚の変化など症状を聞き取り、体調確認票へ記入、クリップペンシルと体調確認票を避難者役に渡します。

避難者役は、記載台で体調確認票の本人記入欄に記入し、一般棟受付へ進みます。

避難スペースに入室する際は、消毒用マットを踏んだうえで、靴を脱ぎます。脱いだ靴はビニール袋に入れます。

避難者役は、避難スペース入口にいるスタッフ役に、世帯の人数を伝えます。
入口のスタッフ役は、レイアウト設営するスタッフ役にその内容を伝えます。

レイアウト設営するスタッフ役は、世帯人数に合わせた必要面積を測り、養生テープ(緑)で区切っていきます。世帯間の距離と通路幅として2m確保します。

仕切りとテントを組み立ててみよう!

ひととおり避難所開設シミュレーションが終了しました。
次は、仕切り(プラスチック段ボール素材)とテントの組み立てです。

仕切りは、目隠しの役割をはじめ、コロナ禍では飛沫を防ぐ役割もあり、仕切ることによって世帯スペースの間隔と通路幅の距離を短くすることも可能になります。
また、テントは、滞在しているうちに体調不良などになった人が過ごす、隔離スペースの役割を果たします。一般棟における保健室的な位置づけです。

さて、ここで考えていただきたいのですが、
なぜ「受付と避難スペースの準備」の中で、仕切りやテントの設営訓練が行われなかったのでしょうか?

これは、災害が起こった直後には、仕切りもテントも避難所にはないからです。
というのも、災害時にはまず、避難スペースの確保から始まりますが、大学の備蓄倉庫には仕切りやテントは設置されていません。しばらく時間がたってようやく区や市、府、国等から災害支援物資が運ばれます。仕切りやテントは東淀川区から届きます。


以下、上段が仕切りの設営、下段がテントの設営の様子です。

【仕切り】板をつなぐ

2人1組になって、養生テープでプラダン板をつないでいきます。

板を立てる

つないだプラダン板を、2~3人でゆっくりと起こします。

出来上がり

プラダン板が自立したら出来上がりです。

【テント】中身を取り出す

テントのパーツは小さくコンパクトに収納されています。説明書も入っているので、すべて取り出します。

組み立てる

説明書にそって組み立てていきます。参加者は苦戦気味…。

出来上がり

コンパクトに収納されていましたが、組み立ててみると十分な広さのあるテントに。

振り返りとメディア取材対応

これで訓練はほぼ終了です。

最後に、東淀川区役所地域課の奥野安全安心担当課長から、今日の訓練について、「今回の訓練はコロナ禍を反映した内容だったので、従来の訓練との違いや、複雑なところもあり、戸惑われたことと思いますが、概ねスムーズに進めていただけた。区役所としても、今回の結果を今後の訓練に活かしたい」との振り返りがありました。

地域の参加者からは「経験がないため戸惑うことが多かった。地域の防災訓練では今回の経験を取り入れたい」「災害時にはパニックになると思う。避難所開設が大変だということがわかった」などの感想をいただきました。

また学生参加者からは「1人暮らしで、万が一の時に心配なので参加した。離れて住む家族とも、訓練での体験を共有したい」「今日学んだことを生かして、災害時には少しでも援助する側、引っ張っていく側に回れるようになりたい」といった声が聞かれ、災害対策を主体的に考える機会になったようです。

この避難所開設訓練には、テレビ局や新聞記者が取材に訪れ、当日夕方や翌朝のニュースで訓練の様子が放送、新聞にも掲載されました。




取材を受ける学生たち →