前学長・野風草だより

No.898

No.898 2019年2月1日(金)

吉田建一郎先生のロンドン便り

 こんにちは。経済学部教員の吉田建一郎です。私は2018年9月から2019年8月まで、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)で、Visiting Scholarとして勉強しています。SOASは1916年に設立され、アジア・アフリカの地域研究に特化したユニークな教育・研究機関です。世界各地から学生、研究者が集まり、学生の半分以上が英国以外の出身者です。
 私は大学生のとき、香港やマレー半島、華僑の歴史を学ぶゼミにいました。そのため、これらと関わりの深い英国には以前から関心がありました。また学生時に、中国語圏である台湾へ留学したため、いつか英語圏でも勉強したいと考えていました。今回、ロンドンで1年間勉強できる機会をいただき、とてもありがたく感じています。
 ロンドンは世界を代表する大都市ですが、朝、自宅の窓からリスがたくさん走り回るのどかな様子をみると、EUからの離脱予定日が近づき、英国の政治・経済・社会の先行きが見通せない状況にあることを一瞬忘れてしまいそうになります。
 右の写真は、ロンドン中心部 Cityと朝、家の窓をあけるとみえる走りまわるリスたちです。

 私は大学院入学後から、近代中国の農畜産業、貿易、企業の歴史に関心をもってきました。これらの歴史は英国とも関係がありますが、これまで私は、主に中国、台湾、日本、米国で収集した史料に基づいて論稿を書いてきました。SOASの図書館をはじめロンドンには、19・20世紀の英国が中国の動向をどう見ていたのかがわかる書籍、文書が多くあります。またSOASの図書館には、大学院生のときに中国の図書館で時間をかけてコピーをとったりノートに筆写したような史料がすぐにみられる中国語の優れたデータベースがあり、今後、既発表の論稿をもとに書籍をまとめる際、あるいは新しい論稿を準備するときに活用できそうです。
 いつもたくさんの学生が長時間勉強に取りくむ図書館の静粛な環境は、良い刺激を私に与えてくれます。学内では、英国内外の研究者によるセミナーに出席し、彼らから何を吸収すべきか、英語圏の研究と比べて日本語で発信されてきた研究の独自性は何か、優れた点は何かを考える良い機会になっています。このほか学内では、時々、口語日本語の講義のお手伝いをすることがあります。学生たちが東京都の個々の区の特徴、ふるさと納税をはじめ、日本の事情にとても詳しいことに驚かされます。
 右の写真は、SOAS(ロンドン大 東洋アフリカ学院)の外観と、食べ過ぎは身体によくないとわかりつつ、しばらくするとまた食べにいきたくなるFish and Chipsです(笑)。

 個人の研究のほか、休日を利用して、経大での講義に使う写真の撮影を積極的に進めています。これまでも講義で写真や動画を多く活用してきましたが、2019年度の秋学期以降、リヴァプールの国際奴隷博物館の展示物、オックスフォード運河、ブリュッセル(ベルギー)のシューマン駅の看板をはじめ、たくさんの新しい写真をとりいれて講義ができそうです。
 様々な背景をもつ人たちと日常的に接することができ、多様性を直接感じとれるここでの毎日はとても刺激的です。残りの約7か月、一日一日を大切に、知見を広げる努力を続けてまいります。
 右の写真は、誰だかわかりますか?中学時代からファンのビートルズ、現代経済史の講義でも言及するジョン・レノンです。休日に訪ねたリヴァプールで撮ったものです。