第3回 中小研セミナー【開催報告】

第3回 中小研セミナー【開催報告】

中小企業経営・研究所の開設50周年記念事業の一環として、2013年度から中小研セミナーをスタートさせました。今回で3回目の開催となります。
中小研では国内外の中小企業研究者を中心に、収集資料の提供、「中小企業季報」ならびに「経営経済」等の発刊、各種シンポジウムの開催などを行ってきましたが、さらにアカデミックな視点だけでなく、実務的視点や政策的視点からの情報提供能力を強化していきたいと考えています。そのためにも、研究所の存在を中小企業の経営者や支援者などにも広く知ってもらいたいと考えています。その一つの取り組みとして、今回のセミナーは3部構成で開催しました。次に、その概要を紹介します。 

  タイトル: がんばる大阪の中小企業!大阪の魅力とパワーの源泉
  日     時: 20151010(土)14001630
  場     所: D館10教室
  参 加 者: 164名(申込者253名) 

<第1部:基調講演>
  竹原 信夫
(有限会社産業情報化新聞社 代表取締役、日本一明るい経済新聞編集長)
テーマ  「がんばる大阪の中小企業!大阪の魅力とパワーの源泉」

<第2部:調査研究報告>
(本研究所との共同研究を含む大阪産業経済リサーチセンター研究員による報告)
   北出 芳久 氏……「大阪の地域ブランド戦略のあり方」
   越村 惣次郎 氏…「海外市場で現地化に取組む中小企業」
   福井 紳也 氏……「アジアにおける都市大阪の魅力」 

<第3部:パネルディスカッション>
テーマ:     大阪の魅力と中小企業のフロンティア
パネラー:  竹原信夫氏、北出芳久氏、越村惣次郎氏、福井紳也氏
モデレータ:太田一樹(本研究所長) 

 第1部基調講演では、「日本一明るい経済新聞」を発刊し、NHKテレビ「おはよう関西」にも出演されている竹原信夫氏に登壇していただき、関西における中小企業の現状を踏まえ大阪で活躍している中小企業の経営者の特徴やユニークな経営方法についてお話をいただきました。たくさんの中小企業の現場を丹念に歩かれ取材されているだけに、説得力がありすぐにでも実践してみたい内容が満載でした。特に元気のある企業には、お客様を喜ばす、社員をやる気にさせる、よそと違うことをする、何でやねんの発想を持つ、常識を破る発想をするという特徴があり、あいさつや清掃という基本的活動も徹底されているとのことです。成熟市場だとされる業界でも、元気な企業は成長しているとのことです。最後に、人生もビジネスも自動ドアではなく手動ドアなので、自分の手でドアを開けないと中の欲しいものを手にとれないという言葉が印象的でした。現場取材に基づく活き活きとした明るい情報が、前向きな気持ちにさせた素晴らしい講演でした。
 第2部 調査研究報告では、大阪府のシンクタンクの役割を担う大阪産業経済リサーチセンターの研究員の方々が、大阪産業の特徴や中小企業の動向に関する調査研究の結果を紹介しました。①北出芳久氏の報告では、地域の活力を維持し発展させるための方策である地域ブランド戦略の重要性と大阪府の様々な取組みについての紹介がありました。②越村惣次郎氏は、企業の海外展開の現状と課題、現地でビジネスすることの意義の分析後、上手く海外展開している中小企業の事例をインタビュー結果を交えながら報告されました。③福井紳也氏の報告では、マクロ的な視点から、世界からみた都市大阪の魅力の現状と課題の分析結果を紹介した後に、都市の国際競争を踏まえた大阪(圏)の政策課題についての提言がありました。上記3つの報告は、グローバル化が進展する状況下での日本の都市や中小企業の喫緊の課題であり、研究者や実務家にとっても示唆に富んだ報告でした。なお、①と②の調査研究は、本研究所と大阪産業経済リサーチセンターとの包括連携協定に基づき、本研究所も協力をして実施したものです。
第3部 パネルディスカッションでは、「大阪の魅力と中小企業のフロンティア」というテーマで、太田所長がモデレータとなり、基調講演と調査研究報告を踏まえて大阪産業の魅力を再評価しながら、中小企業のパワーの源泉を探り今後の戦略や政策のあり方についてディスカッションを行いました。

今回のセミナーでは、上述した目的に合うようにセミナーの構成や内容を工夫した結果、前回よりも参加者数は増加しました。今後、中小企業関係者にも広く研究所の認知度を高めるために、産官学連携事業などにも積極的に取組み、さらに価値ある情報を提供していく予定です。
以上
中小企業・経営研究所