アジア産業集積G研究会(2013度第1回)ミャンマー

共同研究「アジアにおける産業集積」グループ研究会(2012-2013)開催報告

■ 中小研共同研究「アジアにおける産業集積研究」グループ2013年度第1回研究会

日 時2013529日(水)17:3020:15
場 所:大阪経済大学6階 C65教室
出席者12



<テーマと報告者>ミャンマー

松岡憲司 特別研究所員・龍谷大学経済学部教授
「ミャンマーにおける開発の現状と問題点」

細川大輔 所員・本学経済学部教授
「日本のミャンマー支援-ティラワ開発を中心に-」

吉田秀明 所員・本学経済学部准教授
「ミャンマーにおける日系企業の調査

革靴製造業・H社の場合-」


 本調査は、2013324日~29日にミャンマー連邦共和国のヤンゴン、ネピドーで実施されました。選挙によって軍政から移行したテイン・セイン政権の下で、国際経済制裁を解かれたミャンマー経済は国際支援と経済交流によって活況を呈しています。日本政府も1987年以来の円借款停止を解き、残債免除と新規円借款、無償援助の積み増しなどを実行し、金融機関、商社、製造業各社が積極的な進出を開始しています。 調査団は、首都ネピドーで国家計画経済産業省のカンゾー大臣はじめ担当者と会見し、開発の全体計画、日本の重点支援となるティラワ経済特別区、中小製造業育成の現状と課題について意見交流を行いました。現状では、中国が進めるエネルギー開発、ASEAN諸国とのメコン流域開発、ヤンゴン-ティラワ開発が錯綜しつつ、日本による経済協力の軸足が定まりつつあることが確認されました。

 多くの日本企業が視察ブームに止まっている中で今回訪問した革靴製造日本企業現地法人H社は、従業員500人近くを擁し、中国の賃金水準の16%、製造原価で6割程度という労働集約的な革靴規格品製造に特化し、存在感を増しています。

 研究会では質疑応答の後、今回の調査に当たってコーディネターを務め、同行された西澤信善近畿大学教授が自著「ミャンマーの最新経済情勢」『世界経済評論』2012910月(Vol.56No.5)にもとづいて総括コメントを行いました。

■ 中小研共同研究「アジアにおける産業集積研究」グループ 2012年度 第1回研究会

   時:319()15001800
   所:大阪経済大学65教室

報 告 者:藤本昭(神戸大学名誉教授)
報告テーマ:「中国習・李新政権のゆくえ-体制存続の鍵は改革にあり」

 最近行われた「中国共産党第18回大会」、「中央経済工作会議」、「全国人民代表大会」を経て習近平総書記・国家主席、李克強首相による新政権が発足し、当面の経済運営の骨格も定まってきた。各種アンケートでの国民の関心事は、所得向上、腐敗一掃、格差是正、社会保障充実の課題に集中している。新政権は「持続的で健全な発展」を掲げて、経済運営では、新たな成長エンジンを「都市化と内需拡大」、「所得分配制度改革」においてスタートした。その際、念頭に置かれるべきは、「中所得国の罠」による経済停滞、「体制移行の罠」による既得権益層の抵抗と社会の混乱を避けるために、改革を徹底することである。
 この報告を受けて、加藤弘之神戸大学教授から報告へのコメントと近著『21世紀の中国・経済篇-国家資本主義の光と影』の紹介が行われた後、出席者による活発な議論が交わされた。