人口構成とは、ある国や地域の人口の、性別・年齢別・職業別といった構成状況を指す。人口構成の中でも、最も経済的側面から注目されているのは年齢構成であり、従属人口とされる15歳未満の年少人口と65歳以上の老年人口、生産年齢人口とされる15歳から64歳に分けられる。典型的な個人の一生涯における各段階の経済行動の背景には共通のパターンがあり、マクロ経済学における有力な理論の一つであるライフサイクル仮説は代表的な国内のマクロ経済変数である集計された一国全体の所得、消費、貯蓄が年齢構成に左右されるとしている。
私自身は、年齢構成に加えて、人口構成における国際移民の影響に関心を持っている。国際移民の定義はあいまいな点もあるものの、外国生まれの人とその国で生まれ育った人では生活習慣が異なることは明らかであり、上記のマクロ経済変数や国際貿易は人口に占める国際移民の割合にも左右されると考えている。国連経済社会局(UNDESA)が公表したデータによると、1990年から2020年にかけても国際移民が世界人口に占める割合は上昇している。
私の専門分野は国際金融論(国際マクロ経済学)の実証分析であり、日本経済の歴史を扱った研究をしてこなかったが、古墳時代等の渡来人が日本経済や国際貿易に及ぼした影響等を計量的に実証分析できたらと考えており、他の所員の先生方と共同研究が進められたら幸いである。