明治2年の版籍奉還によって武士たちは(大名)華族と士族とに再編成されます。従来の研究は華族と士族をめぐる制度面の成立とその展開を解明してきました。しかし、それだけでは明治期における旧大名と旧家臣たちのつながりを十分に説明できません。さらに言えば、華族と士族という枠組そのものが旧大名と旧家臣の繋がりをわかりにくくしてきたのではないかという疑問も生じます。ですので、華族と士族という語句そのものがこれまで言説としてどのように機能したのかを考えていきたいと思っています。
また、2020年度より4年間、科学研究費補助金によって本研究所所蔵の大和郡山藩士の文書の整理ならびに研究する機会を得ました。こちらにつきましても共同研究者の方々と研究を進めていきたいと考えております。