明治2年の版籍奉還によって武士たちは(大名)華族と士族とに再編成されます。従来の研究は華族と士族をめぐる制度面の成立とその展開を解明してきました。しかし、それだけでは明治期における旧大名と旧家臣たちのつながりを十分に説明できません。さらに言えば、華族と士族という枠組そのものが旧大名と旧家臣の繋がりをわかりにくくしてきたのではないかという疑問も生じます。そのような問題関心から両者の関係をめぐる実態はどのようなものであったのか、あるいは華族と士族という語句そのものがこれまで言説としてどのように機能したのか、といった課題に取り組む予定です。
(2025年5月)