閻立

中国と日本の関係史を客観的に明らかにしたい

日中の過去を知ることで未来が見える

 私は、中国最後の統一王朝である清時代の、1860年代から20世紀初頭にいたる日中関係について研究しています。その時代はちょうど日本の幕末期と明治期に当たりますが、日中関係は当時も今も殆ど変わらず、良くなったり悪くなったりを繰り返しています。この研究によって、現在私たちが直面している日中間の諸問題についてどのような示唆が得られるかを検討できます。

 愚者は経験に学び、賢者は歴史に学びます。未来志向とよく言われますが、過去を知らないままでは未来も見えません。過去の出来事という誰も変えられない事実を、どのように独自に解釈し納得してもらうかが、私たち歴史研究者の仕事です。その際、日中両国の公開と未公開の史料を収集し、読み込み、解き明かしていくという実証研究の手法を利用し、より客観的に歴史人物や出来事などを分析しなければならないのです。このような研究を重ねて、いままでの歴史像と異なる事実が発見されうると思います。日本も中国も、時間をかけて、相互の歴史認識を納得できるまで徹底的に歴史を勉強しなおしたほうが良いと思います。 

歴史について考え、モノの見方を鍛える

 歴史研究の一番の面白さは、そこに登場する人間たちです。良し悪しは別にして、その時代になぜ、そのような人物が活躍できたのか、彼らは時代の変化をどのように読み取ったのかなど興味は尽きません。
 担当している授業は「日中交流史」「中国近現代史」などです。歴史上のひとつの出来事を、複眼的にとらえることで、物事の見方を鍛え、自分なりの答えを導き出してほしいと考えています。