労使間の自由な契約では労働者の権利は守れない
1980年代以降すっかり弱体化してしまった労働組合を、どうすれば強くできるかを考え、その活性化策を探っています。ILO(国際労働機関)の設立とともに導入された労働政策の基本原則は、「政府、労働者、使用者の三者が話し合って自由に決めてください」というものです。なぜこのような原則があるのか、少し考えてみましょう。
労働契約は契約の一種ですから、本来は国家に関係なく労使で自由に決めていいのです。しかしそれでは圧倒的に使用者が有利になってしまいます。だから労働の問題に関しては三者構成原則が採用されているのです。しかし私は、これでも労働者は十分に守られないと考えています。なぜかというと、労働契約においては基本的に「使用者が強い」だけでなく、「政府も使用者側に立っている」から。過労死やブラック企業の問題があとをたたないのも、こういう状況があるからです。残業代ゼロ法案を止めるためにも、労働者は労働組合に集まらなくてはなりません。このような思いから、最初の著書『非正規雇用と労働運動-若年労働者の主体と抵抗』(大阪経済大学研究叢書、2013年)を出版しました。