会社の経営は、誰のために行なわれているのか
コーポレート・ガバナンスは「企業統治」と訳されていますが、私は「企業規律」と捉えています。企業規律を守るためには、違法行為を監視し、少数者に権力が集中しやすい体質を改め、健全に経営できる仕組みを作らなければいけません。新聞で見る企業不祥事には、トップ主導のものが多く目につきますが、まずもって会社は誰のためにあるのかを考えるべきでしょう。コーポレート・ガバナンスは、経営者に対する「自律」的な機能であるべきだという考えから、最近、『コーポレート・ガバナンスと経営者の新たな役割』という本を出しました。私はコーポレート・ガバナンスという概念が生まれたアメリカ企業の実情や日本での企業不祥事などを考察し、グローバル時代に企業が求められるガバナンス(規律・統治)のあり方を追究しています。
エクセレント・カンパニー(優良企業)かどうかは、有名か無名かで決まるのではありません。独特の企業文化を持ち、小さくても強く、ガバナンスが有効に機能してこそ称賛されるエクセレント・カンパニーといえるでしょう。私はスイスの時計メーカーをはじめとする世界のエクセレント・カンパニーに目を向け、その発展の理由も研究しています。