大きな変革期を迎えた会計制度
私はドイツとEU(欧州連合)の会計制度を研究しています。日本の会計制度は明治時代以降、法形式を重視するドイツの会計制度を模倣してきました。会計制度は今、国際的に大きな変革期を迎えており、おもしろい研究テーマになっています。
それは世界共通の会計基準「国際財務報告基準 IFRS(International Financial Reporting Standards)」が設定されたためです。EUは2005年、他の地域や国々に先駆けてIFRSを採用しました。しかし、EU加盟国の間でIFRSへの取り組み方が大きく異なるため、これらの先行事例を考察することで、今後の会計制度の在り方を探ることができます。アメリカでも2007年以降、IFRSへの対応を「コンバージェンス(共通化)」から「アドプション(導入)」に移行し、日本もアメリカに呼応する動きを始めています。欧米の会計制度の動きに目を向ければ、日本の会計制度の特質・問題点もおのずと見えてくるのです。