研究関連

堀竹 学

「動産・債権担保による融資」の研究で 中小企業や個人の経済活動を活発に

譲渡担保と所有権留保の条文化へ提言を

  私の専門分野は、民法のなかの「担保法」で、ABL(Asset Based Lending)について研究しています。最近の研究テーマは「流動財産(動産・債権)譲渡担保設定者による目的財産の処分」。アメリカ法と比較しながら検討しています。

  ABLとは、在庫や 売掛金などを活用した新たな資金調達の方法。土地・建物などの不動産を持たない中小・零細企業などが、商品や在庫、売掛金を担保として、金融機関から事業資金を調達する仕組みです。農家の保有する農畜産物や漁業者が水揚げした魚介類等の有用資産、あるいは医院が所持するレントゲンやMRIなどの高額設備も該当します。日本では不動産を担保にした融資が主流ですが、ABLが発展することで融資を受けやすくなり、経済活動が活発になると考えられます。しかしABLで用いられる譲渡担保や所有権留保には明確な条文がなく、紛争が起きた際、判例や学説、取引慣行で解釈されてきました。民法改正の動きが加速する今、将来、制定が見込まれる譲渡担保と所有権留保の条文化へ向けて、研究成果をもとに提言したいと考えています。

論理的に思考することが法律を理解する近道

 法治国家では、公的なビジネスはもちろん、私的な結婚や相続なども法律が基盤となっており、弁護士や裁判官などの法律職ではなくても、基本的な法的知識を備え、契約などの内容を理解していることが大切です。また法律を学ぶことは条文を暗記することだと誤解されがちですが、そうではなく、論理的に思考することが理解への近道となります。そのため「民法入門」「民法Ⅱ」「民事訴訟法」「倒産法」などの授業では、法的に考えるためのトレーニングを実施しています。さまざまな事例を提示し、法学者の考えや過去の判例などに基づいて学生同士で議論しているほか、テストでも六法全書の持ち込みを許可しています。覚えているかどうかではなく、条文などについてよく考え理解しているかどうかを見極めたいからです。欧米のような契約社会でも活躍できる法的思考力が身に着くよう、ぜひ法律を学んでほしいと思います。