弦間一雄

広告クリエイティブの世界で、 新しい手法を探求・開発

現在のメディア環境に即した情報の作り方を模索

 私の専門は「広告論」で、研究テーマは「広告クリエイティブに関する新しいノウハウの研究」です。大手広告代理店の広告クリエイターとして最前線で活動していた体験を基盤に、情報を社会に発信していくノウハウや、多くの人が広告を作り発信できる考え方・仕組みなどを追究しています。

 インターネットという仕組みが存在しなかった時代は、優れた能力を持つ少数のクリエイターたちが広告的情報を作り出していました。しかし今は、誰もが写真や意見などをSNSを通じて発信でき、アマチュアによるグルメ情報なども効果的な広告的情報のひとつとされています。そのため、現在のメディア環境に即した情報の作り方が模索されており、またネットを利用する人たちにも広告的情報に関する知識やノウハウが必要となってきています。いっぽうで放送局・代理店・出版社など殆どのメディアは、そのような人材やリテラシーを育成する時間的・予算的余裕がなく、メディア論などを扱う大学の学部・学科が、そのような役割を果たす時代になっているように思います。

広告表現を志す学生の支援システムを構築したい

 私は「広告ビジネス論」「広告表現論」「マスコミュニケーション実習」などの授業を通じて、広告やメディアに掲載するコンテンツの作り方などを、実践的に学生に伝えています。重視しているのは、私自身が、どのような刺激を受け、どう考えて発想し、広告的情報を作りだせているのか。自分自身の視点やスタンスを軸に、誰もが共有できる広告戦略のプロトコルのようなものを見つけ出したい。そして広告制作の素養や志を持つ学生が、自身の表現に挑戦するための支援システムを構築できればと考えています。
21世紀の広告情報・メディア情報の作り方は未だ確立しておらず、教育的アプローチは難しいのですが、授業で学部のパンフレットを作成したり、ゼミで企業やブランドなどのイメージを向上させる広告的情報の作成に取り組むなどして、実践的メイキングによる学びや気づきを醸成しています。