研究関連

北市記子

デジタルメディア時代の新しい芸術表現を追究

メディアアートの先駆者の前衛的思考を明らかに

 私は「芸術表現とメディアテクノロジー」について研究しています。昨今、芸術とテクノロジーを融合させた新しい表現「メディアアート」が注目されています。表現とテクノロジーは表裏一体の関係にあり、その有機的な結びつきのなかから新たな表現が創り出されていきます。
多様なデジタルメディアを駆使した斬新な作品は、私たちの感覚を刺激し、新しい体験を与えてくれます。しかし高度なテクノロジーに注目するのではなく、「表現とテクノロジー」という普遍的なテーマについて再考し追究することで、デジタルメディア時代の新しい芸術表現の可能性を展望していきたいと思っています。
 私は当初、音楽を学びたいと思っていましたが、芸術系大学の授業で実験映像(芸術性の高い短編映像作品)と出会い、興味を持ちました。そして学生の頃から実験映画やビデオアート作品を制作し、国内外で発表してきました。現在は、恩師であるメディアアートの先駆者、山口勝弘先生の思考と表現世界について体系的にまとめたいと考えています。表現とテクノロジーの関係性を問い続けたその前衛的思考は、今後のメディアアートの方向性を考えるうえで非常に重要なヒントを与えてくれるからです。

普遍的な表現にはクリティカルな視点が必要

 最近、オリンピックなどの国家的なイベントで、メディアアートの持つ潜在的なパワーが利用され話題となっています。今後もデジタルテクノロジーの進化とともに、メディアアートはより複雑化・高度化していくと思われます。しかしそれらのコンテンツが「作品」として普遍的な価値を持つには、技術だけでなく、表現者としてのクリティカル(批判的)な視点が必要です。単に楽しくキレイなだけのメディアアートではなく、表現を通してメディアの機能や社会のあり方を見つめ直し、そこからさらに新しい表現を生み出していくという姿勢が重要だと考えています。
 本学における担当科目は「メディアアート論」と「映像メディア実習」です。映像メディア実習では、撮影・編集といった動画映像制作のプロセスを実践的に学びます。作品制作を通して企画力・表現力を培うことで、デジタルメディア時代の情報発信者としてのスキルが身につきます。実際に映像制作を体験したという強みは、社会人となり、企業の企画・広報部門に配属された際に、外部クリエイターなどとの折衝で大いに役立つと思います。