【経営学部】地域企業連携実習(2022年度)前編

企業に関わる学びを深め、自らが情報発信する“知の担い手”を目指す

大学と企業を結びつけ地域人材の育成を目指す「志プロジェクト」。本学は5回目の参加となり、稲岡大志准教授(経営学部)の「地域企業連携実習」を受講する2~4年生22名がプロジェクトに取り組みました。今回の取り組み内容は、インターネット百科事典「Wikipedia」でプロジェクト参加企業の記事を編集・作成することです。参加企業の協力を得て、企業に関わる学びを深めていった学生たちの取り組みの様子を紹介します。

オリエンテーションでプロジェクトの意義を認識

2回目の授業となる2022年9月29日、参加企業の方に来校いただいてオリエンテーションを実施しました。まず、コーディネートを担当する株式会社アピックスから「志プロジェクト」の説明がありました。「学生には、経営者から生きた経営学を学ぶ、地元・大阪の優良企業を知る、社会人としてのマナーを身につける、自ら考える・話す・聞く・書くといった学びがあります。また、企業側にも学生目線から自社の認識を新たにする、広報活動、産学連携活動を通しての社会貢献などの効果があり、双方にメリットがあるプロジェクトだと考えています」と、プロジェクトの意義を話されました。
 
稲岡准教授は、今回、Wikipediaの作成に取り組むことにより、学生に“知の消費者”から“知の担い手”になるという授業の狙いについて話しました。「これまでは調べる、本を読むといった形で知を消費する、受ける側が主だったと思いますが、この授業では他の人に読んでもらえる、参考にしてもらえるようなコンテンツを作ってほしい。Wikipediaは多くの人の目に触れる機会があり、自身が担った成果物を発信し、担当する企業を広く知ってもらうことが可能となります」
 
その後、各社を担当する学生たちと企業の方々が顔合わせし、オリエンテーションは終了しました。
 
【プロジェクト参加企業】
・日本鏡板工業株式会社
・千房ホールディングス株式会社
・株式会社日本電気化学工業所
・株式会社アピックス

さまざまな学びを得られた企業取材

参加企業の出前講義、事前準備などの授業を経て、学生たちはグループごとに各社を訪問し、ヒアリングや見学を行いました。

日本鏡板工業株式会社

主要業務として圧力容器用の鏡板を製造・販売。鏡板は、化学・食品プラント施設などに用いられます。取材は小林三郎代表取締役社長に対応いただき、創業の経緯、ロゴマーク、技術力、海外事業などについて学生が質問しました。また、若手社員の方には、実際の業務内容や仕事のやりがい、難しさといったお話を聞かせていただきました。最後に、工場見学へ。大きな機械が稼働する様子に圧倒されるも、作業の工程を説明していただき、理解を深めることができました。
学生たちは、「ホームページや会社案内では知ることができない情報が得られた」「これまでインターンシップにも参加したが、社長とお話できたのははじめて」と、経営者と直接話ができる機会を得て多くの学びがあった様子。工場見学で製品の実物や作業工程を確認できたことも大きな収穫となり、「どんな業務を行っているのか具体的にイメージできた」「実際に自分の目で見て分かることがあると実感した」と話していました。

千房ホールディングス株式会社

お好み焼き「千房」で知られる、総合外食産業。取材では、多様なニーズや年齢層に対応する業態の店舗展開、海外進出の工夫、新たな事業への進出といった事業内容についての話題から、元受刑者の就労支援、お客様や従業員を大切にする経営理念など、会社運営において重視している考えや社風まで、幅広くお話いただきました。
取材をした学生たちからは、「経営理念については事前に調べていたが、人を大切にするという理念を徹底していることが分かった。この理念がしっかりと伝わる記事にしたい」「さまざまな事業への取り組みや海外事業など、企業の持つ強みを詳しく知れたので、多くの人に知ってもらいたい」といった感想をもらい、企業理念や事業戦略に深く感銘を受けた様子が見て取れました。また、「経営やマーケティングについて授業で学んできましたが、具体的に企業でどのように理論を実践しているのか分かって興味深かった」と、学習・研究活動につながる知見も得られたようです。

株式会社アピックス

デジタル印刷、総合文書情報管理サービスを主体としたBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を展開。取材は社内見学からスタートし、プリンターなどの機器の説明を受けたほか、部門ごとにどのような業務を行っているのかを教えていただきました。河村武敏代表取締役社長のヒアリングでは、創業からの業務の推移を聞き、時代の流れに応じて新事業に挑戦し続けた企業の歴史と今の話に、とくに学生たちは興味を深く聞き入っていました。
学生は、「はじめての企業訪問。社内の雰囲気や事業設備などが見られて貴重な時間だった」「イメージしていた印刷業とは違う業務内容を知れた」「授業で学んだISO認証などの言葉が会話の中で出てきて、経営や経済の専門的な言葉を知っておく大切さが分かった」と、それぞれ新しい発見や学びがあったと感想を述べていました。他にも、「前回の授業で、グループワークにおける反省点としてコミュニケーションの悪さが挙がっていたが、今回は改善できていた」と、プロジェクトへの取り組み姿勢について成長を感じた学生もいました。

株式会社日本電気化学工業所

アルミニウムの腐食を防止する表面処理加工を専門に行い、住宅や高層ビルの建材、車両などの特殊製品を中心に手掛けています。取材には、倉智真平代表取締役副社長が対応。創業の経緯、経営理念にこめられた経営者の思い、これまでの実績、技術力、環境への配慮など、具体的なエピソードを交えての経営・事業にまつわる話がありました。社内の展示された説明パネルを見ながら、表面処理加工についても詳しく教えていただきました。
取材を通じ、「製造業に興味を持っていなかったが、技術力を活かして社会に貢献する仕事のおもしろさに気づいた」「一般消費者には知られていないものの、高い技術力で日本を支えている企業があることを知った」と、自身の視野が広がったことを感じた学生たち。企業に関わる人々を大切にする経営理念にも共感し、「社員が充実して働ける環境があり、働くことへのネガティブなイメージが払拭できた」と話す学生もいました。
 
取材を終えた学生たちは、さまざまな学びや気づきを得たことを実感していました。さらに企業と交流を重ね、グループで話し合い、Wikipediaの記事作成に取り組んでいきます。授業の最後には、成果報告会としてプレゼンテーションを行います。
 
 
▶【後編】Wikipediaの記事作成に取り組んだ、学びの成果を発表