研究関連

三島重顕

薬剤師の能力を活用し医療費の抑制に貢献

イギリスの地域薬局の薬剤師と比較研究

 私の専門分野は、高度専門職の経営管理。現在、「調剤薬局に勤務する薬剤師の経営管理」について、イギリスと比較して研究しています。イギリスの地域薬局を調査対象としているのは、調剤薬局に関する両国の医療政策の方向性が酷似しており、かつイギリスの制度が日本より大きく進んでいるためです。
 現在の日本では、薬剤師は超売手市場です。そのため調剤薬局企業は、自社の薬剤師に辞められないよう「この会社で働き続けたい」と思ってもらえる経営管理が必要となります。また調剤薬局に勤務する薬剤師の専門性を活かすことは、増大し続ける医療費の抑制にもつながり、日本全体にとっても重要な取り組みです。日本でも、かかりつけ医ならぬ「かかりつけ薬剤師」の制度(患者の処方箋を一人の薬剤師が継続的に把握し、飲み残しや重複、副作用の有無をチェックする)がスタートしていますが、なかなか定着が進んでいません。
 私は2016年度、イギリスのUCL(University College London School of Pharmacy)に所属し、英国全土の薬剤師にインタビュー調査を行いました。イギリスでは軽い症状の場合は、まず地域薬局の薬剤師に相談します。これにより医師は症状の重い患者に時間を割くことができ、薬剤師も専門能力を発揮でき、患者も病院などで長時間待つ必要がなく、さらには医療費の抑制にもつながります。

日本の薬剤師の能力発揮機会と職務満足を追究

 研究の柱は、①調剤薬局に勤務する薬剤師が、どのような業務で専門能力を発揮できるのか、②どのような業務で職務満足を実感できるのか、そして③専門能力の発揮機会と職務満足の関係性の3点です。英国ではUCLの図書館で調剤薬局に関する世界中の論文を読みましたが、日本の調剤薬局に関する国際的論文はほぼ皆無でした。薬剤師の有効活用による医療費抑制は先進国における医療の潮流でもあり、英語で論文を書き続けることで、日本の現状を世界に発信し状況を改善するエビダンス(科学的証拠)を積み上げていきたいと考えています。並行して、各国との比較研究を通じて、日本の調剤薬局に勤務する薬剤師の活用方法(経営管理)を改善できれば、と願っています。
 ゼミでは、さまざまな専門分野の名著を読んでもらい、社会の現状を分析する思考力を養ってもらいたいと思っています。また常に議論を重視し、教員と異なる意見を歓迎することにより、自分とは異なる意見に耳を傾ける姿勢も培ってほしいと考えています。