今回の土木学会インフラデータチャレンジ2022(以下IDC2022)は、オンラインで開催され、中村ゼミのゼミ生5人以外に、山口大学、法政大学、大阪電気通信大学、摂南大学の学生たちが参加しました。
このIDC2022は通常のアイデア創出、プレゼンテーションイベントとは異なるスタイルで開催されます。それが名称にも掲げられている「アイデアソン」です。アイデアソンはアイデアとマラソンを掛け合わせた造語で、特定のテーマのもとメンバーを集め、グループディスカッションなどを通じて新たなアイデアの創出やビジネスモデルの構築を短期間で取り組みます。
IDC2022では、参加した学生を5〜6名ずつ8つにグルーピング。即席でつくられたグループのメンバーたちと、1時間という短い時間で課題解決のアイデアを議論してカタチにし、プレゼンテーション用のスライドまで作成しなければなりません。アイデアを思いつくだけでも時間がかかり苦戦しそうですが、中村ゼミの学生たちは「まったく苦と感じなかった」といいます。というのも、中村ゼミは大阪経済大学屈指の厳しさで知られるゼミ。中村先生によると、「社会で活躍できるように訓練、いや修行といっていいほど、学生を鍛え上げていく」とのことで、常日頃からアイデアソンのようなアイデア創出やプレゼンテーションに対応できる力を磨いているそうです。
例えば、中村ゼミではグループワークを通じて100案ものビジネスプラン、アイデアを創出し、プレゼンテーションする課題に取り組みます。100案をカタチにすることも大変ですが、プレゼンテーションでは中村先生から徹底的に質問をなげかけられるため、応答に窮してしまう学生も。「どんな質問や指摘にも対応できるよう、深い部分まで考え抜いて準備しなければ、プランの実現はおろか実社会では通用しません。学生の間に数多く失敗し、時には恥ずかしい思いをすることも必要です」と中村先生。その言葉には厳しさの中に、このゼミで学生に成長して欲しいという思いがあふれています。今回のIDC2022でも、学生たちは各グループで、中村ゼミで築いた力を遺憾なく発揮。積極的にアイデアを提案して議論するとともに、考えを迅速にまとめてスライドを作成したり、プレゼンテーションのスピーカーを務めたりしました。
そんなゼミ生を含む8グループの発表内容は、住民や観光客の移動データを収集し、それをもとにスムーズな移動手段や移動経路を案内するアプリであったり、オンライン上に再現した都市をユーザーがバーチャル歩行することで道路の不備や危険地帯を見つけてフィードバックする取り組みであったり、最新のテクノロジーを活かした斬新なものばかりでした。
土木学会インフラデータチャレンジは、アイデアの創出が目的なので、順位の決定や表彰はありません。発表後は、それぞれの内容について、主催者から「短時間で良いアイデアが創出された」「地域のインフラの課題解決につながる可能性を感じた」といった評価を受けました。