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経済学部 上宮智之准教授が日本経済思想史学会2021年度学会賞(奨励賞)受賞

2022年05月30日(月)

論文「日野資秀の経済思想普及構想−忘れられた経済学啓蒙家−」で受賞

経済学部の上宮智之准教授の論文「日野資秀の経済思想普及構想−忘れられた経済学啓蒙家−」が、日本経済思想史学会2021年度学会賞(奨励賞)を受賞しました。

『日本経済思想史研究』21号、pp.1-21(2021年3月 査読あり)に投稿したこの論文は、これまでほとんど注目されてこなかった日野資秀(1867−1903)の存在を経済学教育思想あるいは経済学教育史のなかで浮き上がらせようとしています。
彼は、日本が経済発展を遂げるには国民全体への経済学普及が重要だと説き、小学校からの経済学教育を主張するなど、経済学の啓蒙活動に尽力した人物です。ただ彼は歴史のなかに埋もれてしまっていました。この日野の経済学教育構想を、同じく同時期に経済学教育を推進していた天野為之と比較することで、日野が明治前期の三大経済学者の1人に数えられた天野に匹敵するか、その先駆とも言える経済学啓蒙家であることを明らかにしました。
また、日野はイギリス経済学会(現王立経済学会)の機関紙The Economic Journalに、添田壽一の『財政通論』(1892)への書評を掲載しています。この経緯についても関西学院大学が所蔵する「フォックスウェル文書」から明らかにし、イギリス経済学者と日本人とのつながりや影響関係の一端を紹介しています。

上宮智之准教授のコメント
 
本論文の基礎となった研究は、本学の2018−19年度特別研究費(研究課題:19世紀末から20世紀初頭における日英経済学者の交流と影響関係−「フォックスウェル文書」にもとづいて)の助成を受けました。また、この研究は「フォックスウェル文書」(関西学院大学所蔵)に含まれるエッジワース書簡のなかに日本人(日野資秀や添田壽一)にかかわる記述を発見したことから始まりました。
研究遂行にあたっては、多くの方々や大学から関連資料や情報をいただいたうえ、学会や研究会においてもさまざまなご助言をいただきました。お世話になった各機関・関係者の皆様にあらためて感謝申し上げます。