研究関連

相原正道

フィールドワークの舞台は世界。スポーツで人を、街を元気にしたい

世界のトップクラブチームに直接リサーチ

私はスポーツについて、様々な角度から研究しています。今、興味を持って進めている研究テーマは二つあります。一つ目は、海外チームの経営戦略です。例えば、ワールドサッカーのトップクラブであるバイエルンミュンヘンについて、責任者への直接インタビューを通じて、詳細なリサーチを行なっています。新ユニフォームの販売戦略から、アラブの国でスクールを運営する理由まで、世界の頂点を極めるクラブならではの国際ビジネスの在り方は、日本のクラブ運営にとっても大いに参考になると考えます。トップクラブしか持っていない情報を求め、研究調査にあたっては、東京オリンピック・パラリンピック招致委員会(2016年と2020年の招致活動を経験した日本で唯一の研究者)やプロ野球団で培った個⼈的ネットワークや各競技団体などとの連携をフル活⽤しています。大学経営についても同様、アメリカのNCAAなどの研究を進めています。

もうひとつの主要な研究テーマは、スポーツを通じた地域社会、特に大阪の活性化です。大阪府市「都市魅力戦略推進会議」のスポーツ部会長として活動しながら、世界中核都市ランキングの中で、観光・文化面などの魅力において低迷する大阪のブランド価値向上をめざして研究中です。具体的にどういう強みを生かすかについては、各方面の専門家に意見を聞きながら、住民の方々も納得するような解決策を策定しています。
そのほかにも、障がい者スポーツを促進するため、大阪府立稲スポーツセンター指定管理者評価委員会委員や、ガンバ大阪の本拠地がある日本万国博覧会記念公園運営審議会委員、大阪エヴェッサ・オリックス・バファローズ・セレッソ大阪・大阪市「舞洲スポーツ振興事業 情報発信・マーケティング事業実行委員会」委員、大阪・関西スポーツツーリズム&MICE推進協議会副会長などを拝命しており、スポーツにおいてトータルな視点で手腕を発揮しています。

研究&実践の両面から活動を推進

私の強みは、理論と実践の両方にまたがる活動ができることです。研究者としてはエビデンスにこだわり、論文では理論を重視します。同時にビジネスの実践者として、社会的、文化的なものを含めた価値の向上を目的に活動しています。これからも理論をビジネスの能力に転用する力と、ビジネスを体系化する力の両方を兼ね備え、理論と実践にブリッジをかける研究実践者であり続けたいと思っています。

広く社会から研究課題を探る

学生と一緒に社会の最先端の課題に取り組むことは、私にとって大きな喜びです。昨年のゼミは、「大阪市におけるスポーツ実践率向上策」をテーマに活動しました。その切り口の一つは、大阪へのオリンピック誘致失敗以来、負の遺産と言われてきた舞洲のスポーツアイランド化計画でした。
笹川スポーツ財団が主催する「Sport Policy for Japan」に毎年3年生のゼミ生と出場し、 一橋大学や早稲田大学が参加する中、準優勝した実績があります。

研究課題は、社会が教えてくれるものです。例えば、部活のあり方について。部活自体は素晴らしい文化だと思いますが、今の日本にはスポーツの視点から暴力、体罰の問題を語れる人が少ない。これは本気で解決しないといけない緊急の課題です。また、これからは、スポーツを純粋な身体運動の面だけで考えるのでなく、世界の様々な動きを視野に入れる必要があります。例えばテロの問題にスポーツとしてどう向き合うか。マフィアの暗躍、賭博など、国際犯罪との関係も今後の研究テーマとなりうるでしょう。
座右の銘として、私は「冒険学者のフィールドはいつだって世界です」という言葉をあちこちで言っています。世界で起こっていることをいつ、どう捕まえようかとつねに身構え、人に会うことも含めて飛び回る存在であり続けたい。研究室に閉じこもっていることは、私にとって死も同然なのです。そういう基本姿勢を私に教えてくれたのは、河野一郎先生(JOC理事、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会副会長)、田嶋幸三先生(日本サッカー協会会長)という大学院時代の二人の恩師でした。彼らはつねに最先端の世界に身を置き、学生に惜しみなくリアルタイムの情報を与えてくれる人でした。そのお二人と同じ役目を、私は自分の学生たちに対して果たしたいと思っています。