ここ数年は、イギリス東インド会社が関わった東インド貿易やインド統治などのテーマから会計的側面へとアプローチすることに関心があります。具体的には、これまで先行研究でもあまり光が当てられてこなかったといえる、東インド会社の会計と私貿易(Private Trade:船舶関係者などが自分たちの利益のために会社の船舶に積荷を積み込んで貿易を行うこと)、戦争、ガバナンスなどのテーマにも取り組んでいくことができればと思っています。
また、海外の会計史研究者の間では、方法論として経済学、社会学などのフレームワークを当てはめる研究、あるいは統計的な手法を使用した実証研究もメインストリームを構成するものとなりつつあるように思います。そのうちの一つを例に挙げると、経済学分野で取り上げられるようなエージェンシー理論、契約理論などもその一つです。すでに蓄積してきている先行研究などを参考にしながら、親和性の高い、そのようなフレームワークを東インド会社における私貿易の管理と会計の仕組みの検討などに適応させた、会計学×歴史学×経済学の研究についても関心をもって勉強を進めているところです。
加えて、近年では、国内でも国際的な研究を進めている研究者が集うワークショップに参加して勉強をしており、研究における海外との接合の重要性もますます感じているこの頃です。
この他、イギリスの学会の一つであるBritish Accounting and Finance Associationの会計史関連の(コロナ禍で始まった)オンラインワークショップなどにも定期的に参加し、海外の研究者の研究動向も探るようにしています。なお、2020年12月より、BAFAの会計史インタレスト・グループに、運営に係わるメンバーの一人としても関与しております。
(2025年5月)