学長・野風草だより

No.897

No.897 2019年1月7日(月)

初めてのベスト・ティーチャーの表彰

 ベスト・ティーチャーを表彰する。学長就任以来、長年の懸案でした。今年の新年互礼会のあとの教員表彰式で、遂に実現することが出来ました。教員表彰制度は2018年度より新たに創設したもので、過去3年間の教育・研究等の実績に基づき、学術上顕著な業績または教育上特に功労があった教員を表彰する制度です。私より表彰者の発表と表彰理由の説明をした後、藤本理事長より表彰状等が受賞者に手渡されました。お3人の表彰理由に関しては、次のホームページのニュースにアクセスして下さい。
「2018年度教員表彰式」を行いました

 以下は、それぞれの受賞の感想と今後の抱負です。

○藤本髙志経済学部教授のコメント
 国際雑誌Special Economic Analysisに論文を載せました。教員表彰は、この業績に対していただいたと思っています。国境を越える財やサービスの移動は、容易に把握できます。貿易統計があるからです。しかし、国内の地域間交易は、わかりません。地域間交易の推定を難しくしているのは、産業内交易です。財やサービスは一方向に移動するのではなく、双方向に移動します。例えば、日本は、ドイツにプリウスを販売し、ドイツからフォルクスワーゲンを購入しています。この論文は、ある財やサービスの地域間交易における、産業内交易、すなわち双方向移動の重なり合う部分、を合理的に推定する方法を提案しています。1960年代から研究されてきたテーマですが、一定の終止符を打ったという感触は持っています。
 この研究に取り組んだきっかけは、離島の特異な産業構造に興味を持ち、そんな産業構造が形成された理由を定量的に明らかにしたいと思ったからです。そのためには、地域間交易を推定し、地域産業連関表を生成する必要がありました。しかし、世界中探しても、合理的な推定方法が見つかりません。そんななか、忽然とアイディアが沸いてきました。研究者として30年間やってきましたが、これは最高の研究成果だと思っています。
 教員表彰を励みに、この方法を活用した研究を進めたいと思っています。具体的には、市町村レベルの産業連関表を生成し、農林水産業が川下産業に及ぼす影響を空間的に分析したいと考えています。例えば、漁業の盛んな地域には、水産加工業、卸売業、運輸業、宿泊業など、漁業関連業が立地し、魚介類に付加価値が加えられていきます。そして、地域経済が成長します。漁業生産が川下産業の立地を誘発する様子を、空間的に分析したいと考えています。

○中村健二情報社会学部教授のコメント
 この度は、教員表彰を頂きありがとうございます。今回の受賞は、私自身のみの力では難しく、教育・研究活動が行いやすい場を提供頂いた大学および学部メンバーの力添えがあったからこそのものと考えております。今回の受賞を機に、なお一層、研究・教育活動に邁進していきたいと存じます。
 今後の抱負としては、現在まで実施してきた点群データに関わる研究成果の社会実装を進めたい所存です。特に、道路や橋梁といったインフラメンテナンスの効率化・簡易化が喫緊の課題となっております。この状況下において、人手での全数を対象とした目視点検は難しく、危険性の高い箇所などを取捨選択するスクリーニング技術が必要不可欠です。そのため、車載カメラで計測した画像データや簡易計測の点群データのみでインフラの変状把握が可能となる技術を開発し、今後のインフラメンテナンスの効率化に寄与する予定です。

○相原正道人間科学部教授のコメント
 2018年度教員業績表彰を受賞させていただき誠にありがとうございます。研究活動はややもすると、孤独で内に籠もることになってしまいがちなので、所属機関である大阪経済大学からの受賞は大いに励みになり、しかも初代受賞者となれたことは光栄です。常日頃、研究を縦軸に、教育を横軸に捉えており、私自身の研究成果を学生への教育活動に活かすことを心掛けております。そのため、研究という縦軸が伸びれば伸びるほど、教育という横軸を幅広くでき三角形の面積がさらに広がっていくイメージで研究・教育を実践しています。今回の受賞は大いに自信となりましたので、この受賞に恥じぬよう研究・教育活動にさらに精進していく所存です。