2026/4/6

他資格から見た診断士資格~資格を取得する意義について~

養成課程8期生で今回のブログ記事を担当させていただきます、浅田鉄太郎と申します。
前回、ユーモアと熱い志あふれる記事を執筆された相台さんからバトンをいただきました。相台さんの記事を未読の方は是非、併せてバックナンバーをご覧くださいませ。
 
さて、今回表題のテーマで記事を書こうと思ったのは、私が診断士資格受験以前に、他の国家資格を取得しており、「資格」という存在に対して何かと考える機会が多かったからです。結局、診断士って何だろう?という疑問がある読者の方は是非お付き合いいただけると幸いです。

診断士資格取得の意義   ~「それってどんな資格なの?」~

資格の取得は、経済的・時間的・精神的に支払うコストが大きいです。
それでも、資格に挑戦するのは、コスト以上に得られる価値が大きいと判断しているからでしょう。
しかし、診断士の資格取得を目指していると周囲に告げると、「それってどんな資格なの?」と聞かれ、返答に窮したことはないでしょうか。
私は、家族に同じ質問をされ、上手く答えられなかった経験があります。

なぜ、苦労して挑戦している資格の良さを上手く説明ができなかったのか。それは、①診断士資格の特殊性、②資格取得の動機の言語化不足、③資格の認知度、という原因があるのではないかと考えました。

診断士資格取得して何が良いかが不明だと、学習のモチベーション維持が難しくなったり、診断士となった後に活動方針がぶれたりする恐れがあります。

 

そこで、上記①②③について、他の国家資格との関係において、診断士資格取得の意義について考えてみようと思いました。

 

なお、本ブログをご覧いただいている方のほとんどは、(1)診断士受験生、(2)養成課程生、(3)先輩診断士のいずれかだと思われます。それぞれのステージにある方に1つでも役立つ視点が提供できれば幸いです。

①診断士資格の特殊性

a.業務独占資格 
~独占業務がないことは弱みか?~
 
私は現在、司法書士及び行政書士として開業しています。
司法書士の資格を要約すると「登記手続きの専門家」、行政書士は「許認可手続きの専門家」と言えます。
 
実際にはもっと色々な業務があるのですが、この要約には理由があります。
それは、両資格ともに、これらが「コアな業務」=「独占業務」だからです。
 
「独占業務」があるということは、明確な差別化になります。
資格を説明する際に、「これができるのが、この資格です」といえるからです。一方、「独占業務ではないが、してもよい仕事」もあるのですが、業務の割合としては非常に少ないです。すでに資格に根付いているイメージから、依頼者側が相談を持ち掛けてこないことが理由として挙げられます。また、資格者の側からしても、相談を受けた内容が定型業務の領域から外れていると、例え解決する能力を持っていたとしても、自らの仕事ではないと判断して依頼を断るケースもあるように思います。
それに比べ、診断士には独占業務がありません。診断士の定義について、例えば中小企業庁は、“中小企業診断士(以下「診断士」という。)は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言を行う専門家です”(出典:中小企業庁ホームページ「中小企業診断士とは」)のように、非常に広く表現しています。
 
独占業務がないことは、弱みに捉えられることもあるかと思います。しかし、逆に次の2つの強みがあるとも考えられます。
それは、自ら診断士としての像を作ることができる点と、どんなことでも相談してもらえる可能性がある点です。
「これができる人だ」というイメージを依頼者が最初から抱いていないからこそ、活躍できる範囲が広かったり、自らの仕事像を自由に設計できることに診断士最大の特徴があるのです。

b.いわゆる「修行」について  
~診断士は実務経験を積むのが難しい?~
 
では、自らの活動領域を設定し、診断士として活躍することは簡単なことでしょうか。士業(特に独立を前提とするもの)は、試験合格後、「修行」の期間があることが多いです。すぐには独立せず、事務所で雇われて実務を行います。これは、業界の常識、業務スキルやお作法を学ぶメリットがあるからです。
 
一方、診断士の業界は、そのような「修行」期間があるケースは少数派だという印象があります。
 
既存のコンサルタント会社に就職する人を除いて、実務経験を集中的に積む機会は試験合格後は乏しいのではないでしょうか。ただでさえ、業務領域が膨大な診断士の世界で、自分なりの業務のコツをつかむのは、かなりの労力を要するのではないかと考えます。この実務経験という部分が、特に独立直後の診断士が他資格と比べ相対的に弱い部分なのではないかと思います。
 
しかし、幸運なことに、診断士には養成課程という道があります。
養成課程では、実務に直結する知識を体系的に学ぶことができます。これは、例えば司法書士の新人研修制度と比べても非常に高水準なものだと感じます。
 
このように、他士業に比べて、診断士は独立するためのノウハウの蓄積が難しい一方で、養成課程という道を選択することによって、その緩和をする選択肢が開かれています。(養成課程では単なる同期合格を超えた仲間もできます!!実はこれが一番得難いものである気がします。)

②資格取得の動機

a.私が司法書士資格を取得した動機
  ~ルールとは何か、という疑問~
 
私は、幼いころからルールに興味がありました。ルールを守らない人がいるのはなぜか。守らない方が得をすることがあるのはなぜか。どうすれば守らせることができるのか。ルール自体にはどんな意味があるのか
そのような疑問から、法律を勉強したいと思うようになり、転じて司法書士を目指すようになりました。
 
業務経験を経て、私が思う法律(ルール)の意義とは何か。それは「予測性を高めて、安全を守る」ことにあると感じています。これは、交通ルールを思い浮かべればわかりやすいと思います。みんながルールに従うはずだという共通の認識があるからこそ、安心して行動ができたり、行動の計画を立てることができるのです。
 
このような文脈で考えると、司法書士の業務の内容は、依頼者が何らかの意思決定をする場合、それをルールに沿う形で実現させるためのサポートをしたり、その行動結果を記録し、登記という形で公示するというものになります。
 
b.私が診断士資格を取得しようとする動機
  ~守りから攻めへ~
 
司法書士が、「意思決定」を尊重し、ルールに沿った形で実現させるサポーターであるとするならば、診断士は、意思決定自体を援助する役割があると思います。
 
意思決定を実現するだけではなく、合理的な意思を形成するためのサポートをしたい、というのが私が診断士を目指した理由です。
例えば、募集株式の発行について、その手続きを説明することができるというだけではなく、資金調達の理由や会社の状況を総合して、他の資金調達方法についてもアドバイスできるような存在になりたいと考えています。

③診断士の認知度

a.一般の依頼者の認知度
  ~みんな資格の事は知らない?~
 
これは私の経験則ですが、依頼者は資格について全然知識がないということも珍しくありません。司法書士も行政書士も税理士も区別がつかないということも、ままあります。
しかし、これは、ある意味当たり前のことです。依頼者は、資格に興味があるのではなく、目の前の人間が自分の課題を解決してくれるかどうかが重要だからです。であれば、診断士であっても、自らの業務を伝えるためには、資格自体のことを機械的に説明するだけでは十分とは言えないでしょう。常に「例えば、この資格(に根差した知識・経験)を持つ私があなたに何ができるのか」=「あなたにとってこんな良さがある」を伝えることが肝要ではないでしょうか。これはどんな資格でも共通して言えることだと思います。
 
b.資格者同士の認知度
  ~相互作用を目指して~
 
司法書士・行政書士として業務を行う中で、他士業との連携を取ることはよくあります。
しかし、残念ながら診断士の方と一緒に仕事をしたという経験はまだありません。
これは、私がまだまだ若輩で、業務歴が浅いということもあるということも大きな理由だと思います。
 
しかし、司法書士会が行う研修や異業種交流会でも診断士の方にお会いする機会がなく、業界自体のつながりが薄いのではないかと思います。
 
資格者同士の認知は一般の依頼者に比べると高い傾向にありますが、一歩進んで業界同士相互でもっと協力できることがあると思いますし、橋渡しを進めていければよいなと考えています。

まとめ

診断士は明確な業務領域が定められておらず、これを自ら創造できます。
 
また、依頼者に対しても、単なる知識やルーティンワークの提供ではなく、一定の創造性を提供する必要があると思います。
半面、自分が何を提供できるのかということを自身で明確にしなければ周囲から理解を得ることが難しいです。
 
このような創造性というものに診断士の魅力があるのではないかと思います。
 
次回は荒金さんにバトンを渡します。
荒金さんは製造業界におられ、授業でも鋭い質問を飛ばしておられます。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。